<鳥さん個別相談・飼い主さんの声3>春ちゃん・モモイロインコ|咬みつき改善etc
『鳥さん個別相談』をご利用くださった飼い主さんの声をご紹介いたします。
鳥さんにトレーニングを行う上で、応用行動分析学に基づくトレーニングの原理は同じでも、鳥さんや飼い主さんの性格・生活リズムによって、それぞれに合ったアプローチ法をあてはめていく応用力が必要となります。そこで、さまざまな鳥さんや飼い主さんの取り組みを知っていただくことで、ご自身の鳥さんのトレーニングに応用しやすくなるといいなと思っています。
それでも、まったく同じことを試してみてもうまくいくとは限らないのがトレーニングの難しいところでもあります。
ちゃんとやってるのにうまくいかない…
という場合は、何かしらのポイントがうまく鳥さんに伝えられておらず、トレーニングの見直しが必要だと判断できます。鳥さんに適切に伝わらない方法でこの先ずっと継続したとしても、残念ながら改善は見込めないと思われます。そんな時は、トレーナーに相談していただけたらと思います。
トレーニングは、鳥さんに人がこうしてほしい、これはやめてほしいということを適切に伝えられるツールです。トレーニングを行うことで、鳥さんの行動を観察することになるので、鳥さんのボディランゲージを通じてたくさんの気持ちを受け取ることができるようになると感じています。そして、鳥さん側からしてみたら、大好きな飼い主さんと一緒にできる遊びの一環でありコミュニケーションの一つです。人側の一方的な希望を押し付けることは本意とはしておりません。そのため、飼い主さんが100%望むような改善につながらないケースもあることもご理解いただけたらと思います。
それでも、現在、鳥さんの困った行動にお悩みの方、他の飼い主さんと鳥さんの取り組みを知っていただくことで、あきらめずに自分もやってみよう!と思ってくださるきっかけになっていただけたら嬉しいです。
----------------------------------------------------------------------
<飼い主さんの声>春ちゃん・モモイロインコ|咬みつき改善etc

●鳥さんのお名前:春ちゃん
●鳥種: モモイロインコ
●ご相談時の年齢: 8か月
●ご相談内容:
問題と考えていたのは二点です。①噛み癖、②壁紙を破く。
ただし②については、後に諦めることにしました(笑)
●飼い主さま:Yさま
●ご相談日:2019年12月11日(初回)、2020年3月17日(2回目)
●ご相談方法:オンライン
Q1:ご家庭で行ったトレーニング内容について:
☆褒めるトレーニング ①パーチへのステップアップを指示通りできたら、「上手ね」と言う声かけと、好物の蕎麦の実を与える。 ②自分から足を出すなど、積極的にトレーニングを続けようとする様子が見られた。 <トレーナーより> 取り組んでいただいたトレーニング法は、ポジティブレインフォースメント(正の強化)。望ましい行動の直後に現れたご褒美と関連付けを行って、望ましい行動の出現率を上げて行く方法です。春ちゃんは、ご褒美自体もそうですが、とにかく飼い主さんと一緒にできること全てがご褒美となっている様子(*1)でトレーニングにとても積極的な鳥さんでした。
Q2:トレーニングを行っている時に難しかった点やうまくいかなかった点について:
トレーニング開始から二ヶ月ほどして、ちょうど「鳥の自立期」が重なり、急に噛むなどの問題行動が増えたことがありました。褒めるトレーニングで乗り切り、1ヶ月ほどで落ち着きました。

<トレーナーより>
Yさまがおっしゃるとおり、トレーニング開始から2か月ほどして、つまり春ちゃんが1才を迎えた時期はまさに鳥さんにとっての独立独歩の時期と重なり、トレーニングが思うようにうまくいかなかったとのことでした。
この時期を「反抗期」という表現を使われることもありますが、鳥さんとしては反抗しているというよりも、1才までは飼い主さんのなすがままになっていた時期から、1才を過ぎるころに、自我が芽生えて鳥さんの意思がはっきりしてきて主張できるようになった独立独歩の時期だと言う方が適切なのではないかなと思っています。この時期に、「昔は言うこと聞いてくれたでしょ!」と以前の接し方のまま、たとえば鳥さんの意思を無視して飼い主さんがしたいままに接してしまうと関係性がこじれてしまうというケースは少なくないようです。
上述の*1の通り、春ちゃんは飼い主さんの言葉もひっくるめてご褒美になるタイプだったので、飼い主さんが「ダメ!」と言うと、ダメと言われた行動を止めるどころか、この「ダメ!ダメ!」を真似してテンションが上がっていた時期があったようです。このような時期を乗り越えられたのは、飼い主さんが一貫したルールで粛々とトレーニングを継続してくださったおかげだと思います。
このトレーニング法は、望ましくない行動、春ちゃんでいうと「咬む」行動の時にはノーリアクションが鉄則です。
やってほしくない行動の時に「ダメ!」や「コラ!」というと、鳥さんとしては声を掛けてもらった♪とご褒美と勘違いしてしまうこともあります。望ましくない行動を止めさせるという視点で取り組んでしまうと、鳥さんとしては「じゃあ何をしたらいいの!?」「どう振る舞ったらいいの??」と混乱してしまい改善に至ることは難しくなってしまいます。望ましい行動を強化していく方が、飼い主さんからのこうやってほしいなというメッセージが適切に伝えられて、鳥さんも「こうやればいいことがある♪」と明確に受け取ることができる、というのがポジティブレインフォースメントのトレーニングです。わたしたち飼い主も、ダメなところに目を向けるよりも、鳥さんのいいところ(望ましい行動)に目を向けて、それができたら一緒に喜ぶ方が楽しいのではないかなと思っています。

Q3.トレーニングを経て、現在の鳥さんの状況について:
「褒められるのが嬉しい」と言う気持ちがとても大きくなったようで、トレーニングをせがむようになりました。 ステップアップからトレーニングを増やし、今では投げたボールを持って来たり、色を見分けたりできるように。トレーニングは一緒に遊べるだけでなく、鳥がイライラした時の気持ちの切り替えに有効で、とても助かっています。 鳥の方からも、おしゃべりや特定のゼスチャーで、自分の気持ちを伝える努力をするようになりました。人間とのコミュニケーションを楽しんでくれているように思えます。
Q4.同じように悩んでいる飼い主さんに向けてのメッセージ:

飼い主として鳥とどのように関係を築いていけば良いのか、とても悩んでいました。とんでもなく乱暴な鳥をお迎えしてしまったと(笑)
けれどもカウンセリングを経て、鳥の方でも人との適切なコミュニケーションの取り方を探していたのだなと考えるようになりました。きっと「この飼い主、ワカラズヤだなぁ」と思っていたのではないかしら。共通の意思疎通手段を手に入れる事で、互いにストレスなく、幸せな日々を過ごすことができています。
モモイロインコさんにもいろいろなタイプのコがいる中で、春ちゃんの意思表示はいつも直球勝負!という感じでした。分かりやすい反面、どうコントロールしたらいいか悩ましい部分もあったのではないでしょうか。それでも、トレーニングを通じて、お互いの意思を伝えあえることができるようになってよかったな~と思っています。
そんな春ちゃんの様子をYoutubeでご覧いただけます↓
飼い主さんが、これからモモイロインコさんをお迎えされる方や、現在、問題行動で悩んでいる方に少しでも参考にしてもらえたらという思いが詰まった「春ちゃんねる」です。
大型の鳥さんだけでなく、鳥さんと暮らす飼い主さんには、鳥さんに適切に伝えられる方法を知っておいていただけるといいなと思っています。
Yさま、春ちゃん、ありがとうございました!
これからも、元気に楽しく、春ちゃんとの知恵比べを楽しみながらお過ごしください!
